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猫にとっての理想的な食生活とは

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実は現在、わが家に糖質制限が必要な者がおりまして。

動物にとっての糖質とは何か。そんな事を考える機会が増えました。

人間は自分の責任で食事を選べますが、室内で暮らす猫は人間が与えたものでしか生きることができないので、人間の責任は重大です。

猫にとっての、とりわけ家猫にとっての理想的な食事とは何なのか、ちょっと考えてみました。

動物にとっての糖質

最近は糖質制限を推奨する動きが活発になってきているので今さら説明するまでもないかもしれませんが、まずは糖質とは何かをおさらい。

糖質とは、炭水化物のうちの食物繊維以外のものを指します。

少し前まで食品の栄養成分表示には炭水化物の表記しかありませんでしたが、ここ最近は糖質と食物繊維を分けて表示されている物が多い印象です。

食物繊維は動物の持っている酵素では消化できないので、いわゆる『栄養』として体内に取り込むことはできません。

ただ腸内細菌は食物繊維を分解できるので、腸内細菌の栄養にはなります。

また、便通を良くするなど腸の働きを活発化させるため、動物にとっては必要な成分といえます。

一方の糖質(デンプンや糖類)は、分解されて最終的にはブドウ糖(グルコース)となり、細胞のエネルギー源となります。

こう聞くと、糖質って必要だから絶対に摂らないと!と思うかもしれませんが、実はそうでもないらしいんですよね。

そもそも人類の祖先は穀類の栽培なんてしていないので、食事といえば魚介や小動物、木の実が主なもので、かなりの低糖質食といえます。

果実もあれば食べたでしょうが、得られる期間が限られるため、基本的には糖質がほとんど得られない状態で生活していたと考えられます。

ではどうやってブドウ糖を得ていたのか。

実は、ブドウ糖はたんぱく質や脂質から体内で作ることができるんです。

ヒトや動物は、糖質が食事から入って来ない状態になると『糖新生』という機能が働き、タンパク質を分解して得られたアミノ酸などから必要なブドウ糖を肝臓で生成できるんだそうです。

現代人は糖質を摂り過ぎていて、インスリンを大量に分泌し続けたことで膵臓が疲弊してしまい、インスリンを生成する能力が衰えたり、インスリンがうまく効かなくなってしまうことで糖尿病になってしまうといわれています。

血糖値を上げるホルモンはたくさんあるのに、下げるホルモンはインスリンのみ、というのも、そもそも人間が糖質をあまり摂らない動物であることの証拠のような気がしますね。

猫に糖質は必要?

糖質の説明がかなり長くなりましたが、猫にとっての糖質とはどういう存在でしょう。

猫は太古の昔から『真性肉食動物』で、肉を食べないと生きていけない動物です。

我々人間のような雑食性動物と違い、植物からの栄養を必要としません。

そのため、猫はデンプンを消化する能力が低く、米などのデンプン質の食べ物をたくさん食べるとお腹を壊すといわれています。

猫のような肉食動物は、雑食動物と比べて糖新生の酵素活性が高く、より効率的にタンパク質からブドウ糖を作り出すことができるようです。

ですので、猫はヒト以上に糖質が必要ない動物であるといえますね。

猫にとって理想のごはんとは

では、どんな食事が猫にとって理想なのでしょうか。

『肉食』といっても、いわゆる精肉だけを食べては生きていけません。

タンパク質や脂質以外に、ビタミンやミネラルも必要です。

猫にとって理想的な食事は、外で生活するときに食べるもの、つまり生きた獲物でしょうね。

特にネズミは、猫にとって栄養バランスが完璧といわれています(ネズミを飼っている方スミマセン💦)。

ネズミの肉だけでなく、骨も内臓も丸ごと食べる事で、必要な栄養素を全て賄うことができるんですね。

ネズミは雑食性なので、胃や腸の中には半分消化された植物や穀類などが残っています。

猫自身は植物を消化する能力が低いですが、ネズミが体内で消化してくれたものを食べる事によって、植物由来の栄養素も摂取することができるんですね~。

また、水溜まりの水を飲む事でもミネラルを摂取できるといわれています。

家猫のごはんは糖質だらけ

一方、家の中で暮らす猫は人間が用意したごはんを食べる事になります。

多くの飼い主さんが、ドライフードやウェットフードなどの市販品を与えていると思います。

だって、猫に理想的な食事を与えようと思ったら、一日に数匹の生きたネズミを目の前に放して食べさせる必要があるということになりますから、そんなことは不可能!

生きたネズミと同等の栄養を含む食事を常に用意するのも、一般家庭では無理です。

ヘタに手作りごはんをあげると栄養が偏ってしまい、病気を引き起こす事にもなりかねません。

ドライフードには、結構な割合で糖質が含まれています。

キャットフードの栄養成分表示には炭水化物の表示義務がないので、糖質がどのくらい含まれているのかパッと見ただけでは分かりませんが、原材料に穀類やイモ類などの名前が並んでいると思います。

ドライフードは、満腹感や食感だけでなく、成形し乾燥させて保存するためのつなぎとして穀類やイモ類を使用していて、安価なフードほどこのつなぎの割合が高くなります。

『グレインフリー(穀物不使用)』といわれるフードも、穀類は使用していなくてもイモ類は使われています。

ウェットフードも、つなぎとして糖質が使用されているものは結構あります。

市販のキャットフードを与える以上、糖質を避けることはまず不可能。

人間にできる事といえば出来るだけタンパク質量の多いフードを選ぶ事くらいですが、お猫様は気まぐれなので、匂いや味に満足できなければ食べてくれません。。

実際、わが家の猫たちはちょっとお高いタンパク質量の多いフードはことごとく食べてくれませんでした…。

理想的でない食事と引き換えに得られるもの

家猫は、『お世話する人間が用意できる範囲で(金額的にも)ある程度栄養成分が整っていて美味しいもの』を食べる事になります。

それは、栄養的には猫にとって理想の食事ではないかもしれません。

ただ、猫の幸せって栄養が理想的な食事を摂れる事だけでしょうか。

確かに外で獲物を獲って食べれば理想的な食事を得られるかもしれませんが、いつでもそんなものにありつけるとは限らないですよね。

狩りが苦手な子にとっては狩り自体がストレスでしょうし、それ以外にも多くの外的ストレスや危険にさらされることになります。

家で暮らす猫は、栄養が理想的な食事を得られない代わりに毎日安定してごはんが食べられて、敵に遭遇する心配も交通事故に遭う危険もなく、暖かい家の中でゆっくり眠れる生活を送れます。

何が幸せかは猫に聞かないと分かりませんが、気持ち良さそうに眠るわが子達を見ていると、健康で長生きしてもらうために色々考えていかないといけないなぁ、とあらためて思うのでした。

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